来場者は、作品を見ずに所定の位置まで誘導され、VRゴーグルを装着する。
目の前に広がるのは、木の壁、枯山水の庭、テーブルと椅子—— そして巨大な木の箱。
やがて、観客はその箱の中へと誘導される。箱の中では、壁一面に映像が流れ、中央の箱の穴を覗くと、さらに別の映像が見える。

VRを外すと、そこには実際には存在しないはずのVRの世界の痕跡 が残されている。
床には木屑や設計図、バーコードのような白黒の紙が散らばり、テーブルにはVRの中と同じ皿、フォーク、バナナが置かれている。

REAL_copy. は、VRが「リアルのモデル」として現実に重なることで、現実とは何か？という問いを観客に投げかけるインスタレーションである。
VRと現実が共存することで、視覚だけでなく、触覚・嗅覚・聴覚といった感覚までもが共有され、両者の境界が揺らぎ、観客のリアルに対する認識が変容していく。

現実空間には、VR内で見たものと対応する「机」「椅子」「コップ」「壁」が配置されているが、VRと現実での見た目や存在感は意図的にズレている。
これにより、「現実はリアルであるべき」「VRは非現実的であるべき」という固定概念が揺さぶられ、観客は無意識のうちに「リアル（アクチュアル）」と「リアル（本質）」を再考させられる。